濱風商事さま / 澤田

補助金の活かし方 — 2つに分けて整理しましたSUBSIDY — TWO LANES & THE LINE

ご相談を、はっきり2つに分けました。 ①濱風さまが「もらう」側(自社で補助金を使う)と、②濱風さまが「売る」側(営業に使う)です。 この2つは、やることも、気をつけることも、まったく違います。 そして法律の線が関わるのは、②の一部分だけです。そこも含めて、下でひと目で分かるようにしました。

※ この資料は8月18日中に2度書き直しています。初版はご相談の読み方を外しており、 「補助金がある自治体=海外進出を推している地域だから商談チャンスがある」というお考えを拾えていませんでした。 また「濱風さまのサービスは補助金では買えない」という記述にも誤りがありました(実際は買える制度があります・§2-3)。訂正してお詫びします。

0早見表 — この1枚で全体が分かります

 ① もらう側(自社で使う)② 売る側(営業に使う)
目的 濱風さまの費用を減らす
(事業拡大・備品購入など)
商談の相手を見つける/提案を通しやすくする
誰のための補助金か 濱風さま自身 お客様
調べる条件 ほぼ固定(合同会社・従業員3名・所在地・業種) お客様ごとに変わる/地域ごとに変わる
仕組み化 しやすい 条件が変わらないので自動で回せます 半分だけ 候補集めは自動、判断は人
法律の線 触れません 自分の申請は自由です 一部だけ触れます §3 の表をご覧ください
間違えたときの損 申請が通らないだけ 地域選びを外す=空振り
お客様に誤案内=信用の損失

1① 濱風さまが「もらう」側

自社で使う

結論:これは素直に作れます。むしろ自動化しやすい部類です。

理由は「条件が変わらない」ことです。 濱風さまは合同会社・従業員3名で、所在地も業種も固定です。毎回考え直す必要がありません。

お知らせの出し方だけ、先に決めさせてください。 締切が近い補助金は月に40〜60件出るので、全部お知らせすると2週間で誰も見なくなります。 「濱風さまの条件に当てはまるものだけ・週1回まとめて」を提案します。

法律の線には一切触れません。自分の会社の申請を自分でやるのは当然できることです。

2② 濱風さまが「売る」側

ここは3段階に分かれます。手前の2つは線に触れず、3つ目だけ注意が要ります。

営業に使う

A地域を選ぶのに使う 線に触れません

「補助金がある自治体=海外進出を推している地域」という見方は、筋が通っています。 制度は需要があって初めて生まれます。その地域に「海外に出たい企業」がいるから、自治体が予算をつけるのです。

この用途では、補助金の中身が何かは関係ありません。 たとえ対象が特許の出願費用であっても、その県が海外展開に予算をつけている事実そのものが信号になります。 (初版でこれを「使えない」と切り捨てたのは、こちらの読み違いでした)

いま海外・販路に予算をつけている自治体(2026年8月18日・募集中)

自治体件数
東京都4
福岡県(県+飯塚市)2
北海道/香川県/鹿児島県/愛媛県/群馬県/岐阜県/徳島県/広島県/鳥取県/島根県/兵庫県/和歌山県/長野県茅野市各1
1つだけ、使い方の注意です。 「補助金が無いから優先度を下げる」という使い方はしないでください。 国のシステムに載るのは電子申請に対応した制度だけで、1件も出てこない県が半分以上あります。 それは「推していない」のではなく「載せていない」だけです。上げる方向にだけ使えば、外れても損はしません。

B企業を選ぶのに使う 線に触れません

地域より、さらに確度が高い使い方です。補助金を「獲った企業」を狙います。

「補助金がある県を攻める」より「補助金を獲った会社を攻める」。 後者のほうが、初回から具体的な話ができます。

Cお客様に補助金を案内する ここから線が関わります

「この補助金で弊社のサービスをご契約いただけます」とお伝えする段階です。 ここだけは、次の §3 の線引きが効いてきます。

案内すること自体は問題ありません。 家電量販店が省エネ補助金を案内するのと同じで、売り手が「補助金の対象になりうる」と伝えるのは通常の商行為です。 問題になるのは、そこから先(申請書を書く・代わりに出す)へ踏み込んだときです。

⚠ もう1つ、この段階では「断定しない」ことが大事です。 補助金が使えるかどうかは募集要項の細部で決まり、最終判断は交付元の窓口が持っています。 「対象になり得ます。最終的には窓口にご確認ください」という言い方に統一するのが安全です。

3線引き — ここが今回いちばんの成果です

2026年1月1日、改正行政書士法が施行されています

やってよいこと / 要注意 / やってはいけないこと

可否行為どこの話か
できる濱風さま自身が補助金を申請する① もらう側
できる社内で営業の優先順位を決めるのに使う(地域選び・企業選び)② A・B
できる補助金があることをお客様に教える/募集要項のありかを教える② C
できる自社サービスの見積書・カタログ・仕様書を出す(通常の商売の書類です)② C
できる行政書士・商工会議所・よろず支援拠点を紹介する(紹介料は取らない)② C
要注意事業計画の中身をお客様と一緒に議論する
「議論」が「作成」に変わる境目が曖昧です。原稿を濱風さま側で書き起こさない運用にしてください
② C
要注意行政書士を紹介して紹介料を受け取る
改正後の実務解釈が固まっていません。受け取らないのが安全です
② C
できない申請書・事業計画書を書く/下書きする/様式に転記する② C の先
できないお客様のIDを預かって代理で申請する② C の先
できない「申請サポート込み」の料金にする(名目を問わず報酬に当たります)② C の先
できない「補助金が取れたら成功報酬◯%」② C の先
覚えていただきたいのは1行だけです。
「教える・案内する・自社の書類を出す」は自由。「お客様の申請書に手を入れる」からが資格の世界。

もう1つ、価格の付け方だけ気をつけてください

定価表を作り、補助金があってもなくても価格を変えない。
これだけで、①「補助金ありきの値付け」と見られるリスク ②「補助金が切れたら売れなくなる」問題 ③不正受給を疑われる構図——3つが同時に消えます。

※ 参考までに、「IT導入補助金」では会計検査院が1億円を超える不正受給を認定したと報じられており、 その多くはITベンダー側がお客様に持ちかけていたとされています。「自己負担なしで導入できます」という営業トークが典型です。 悪意がなくても、価格を補助率から逆算した瞬間に外形が整ってしまいます。定価表はその一発の防御です。

4【訂正】濱風さまのサービスが買える補助金は、実在します

初版で「濱風さまの販路開拓のご支援サービスは、この補助金では買えません」と書きましたが、 これは特定の制度(海外出願支援事業)についてだけ正しく、全体の話としては誤りでした。

実例として、飯塚市の海外展開支援事業費補助金の対象経費を公式ページで確認しました。

対象になる経費(原文より) 旅費・宿泊費/通信運搬費・出展料/通訳・翻訳料・印刷製本費/広告宣伝費・参加費・登録料/ 委託費:「販路開拓に関する事業を委託するために要する経費」/その他 市長が特に認める経費

「販路開拓に関する事業を委託するために要する経費」——これは濱風さまのサービスそのものです。 ただし上限10万円なので、この制度単体で大きな商談にはなりません。 「対象になる制度は確かにある。ただし金額の大小はよく見る」が正確なところです。

5調べ方について — AIに読ませます

初版で「募集要項は国のデータから取れないので調査は完結しない」と書きましたが、これも不正確でした。

したがって「主要な都市から順に、網羅的に調べていく」というやり方も成立します。 ただしお客様に出す前に、人が要項の該当箇所を目で確認する——ここだけは残します。 AIは候補を出すところまで、「使えます」と言う判断は人が持つという分担です。

6進め方のご提案

順やることどちらのレーンか期間
1濱風さま用の見張りを作る(条件固定で定期チェック→週1でお知らせ)① もらう側数日
2海外に予算をつけている自治体の一覧を作る(§2-A が第1版)。上げる方向にだけ使う② A着手済み
3攻めたい地域を5つ選び、AIに公式ページを読ませて対象経費を抜く② A→C1週間
4採択企業の一覧が公表されている制度を探す② B1週間
5手応えを見て、どこまで広げるか決める——
まず 1 と 2 から始めてよろしいでしょうか。
どちらも法律の線に触れず、外れても損がない範囲です。

7調べきれていないこと(正直に)

作成: 澤田 / 2026-08-18(同日中に2度改訂)。 件数は 2026年8月18日に国の公開データを実際に取得して数えたもの、対象経費は自治体の公式ページで確認したものです。 法令は日本行政書士会連合会の公表資料で確認しました。 法律の判断については専門家ではありませんので、②C を事業として本格化される前に、行政書士会または弁護士さまへのご相談をおすすめします。